ここは森のゲーム開発室・・・
平成の終わりとともに終末を迎えようとしている過酷な森・・・
(サスペンスシーン)
OL「今日の気温は何度か知ってる?」
森クマ「たっ・・・体感的に氷点下2度くらいですかねクマ・・・凍える寒さ、今年は冬が長い」
OL「25度(夏日)じゃ!!!新作のゲームは!!まだリリースできないんか!!!!!とっくに雪は溶けたぞクマ野郎!!」
そう、この森の呪われた新作ゲーム「まつろぱれっと」は雪が溶ける頃のリリース、もとい平成が終わるまでにリリースする予定だったのだクマ!!
しかし・・・現在の進捗は・・・
(呪われている)
OL「65%ってどういうことじゃ!!!3月の時点で75%とかになってたのになんで下がってるのよクマ野郎!!」
森クマ「うっ うぅ・・・・」
森クマ「実はまだ!!この森の雪は溶けていないのですクマ!!」
(はぁあああん?)
森クマ「こっ こちらの写真をみてくださいクマ!!」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜会議前〜〜〜〜〜〜〜〜〜
4月リリースが絶望的になった開発メンバーは、いかにリリース延期のお願いをパトロン(OL)にするべきかで、検討を重ねていた・・・
(連日の会議は出席者の精神を病んだ)
少女「リリースの延期がただで決まるとは思えないから、この森の季節を偽装しましょう。要はまだ雪が溶けていなければリリースしなくていいのよ」
「偽装?」
少女「そう!この、森クマそっくりの人形を雪山に旅行に行くお友達に持ってもらって、雪と一緒に写真を撮っていただくの!それで、まだ雪は溶けていませーんって言い張るのよ。交渉ごとに時にはジョークも必要だわ、きっと空気が和む!」
森クマ 「そっ・・・それは流石に厳しいんじゃ・・・だいじょぶだいじょぶ、森のクマとOLは長い付き合いックマ。論理立てて話せばわかってくれるックマよ」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜会議後〜〜〜〜〜〜〜〜〜
(ロケ地:青森・酸ヶ湯温泉)
森クマ「おわかりいただけただろうかクマー!!!!この写真のとおり、まだ雪は溶けていませー
OL「おめぇは・・・ふざけているのかクマ野郎・・・」
少女「そうね、悪ふざけにもほどがあるわ森クマ。今は真面目な話をしているのよ。」
(裏切りが日常茶飯事の森)
OL「だいたい、貴様のへそくりも もう底を尽きそうじゃない!?生活はどうするの!?消費者金融から借り入れでもするんか!?クマが消費者金融からスムーズに借りれるとでも思ってるんか!?それとも毛皮を質に入れるんか!?」
うぅっ・・・
もうだめックマ、これ以上引き伸ばすと命が危ない・・・
ここはとりあえずリクナビNEXTに登録して、クマでもできるお仕事をさが・・・
はっ・・・・
森が・・・泣いてる・・・?
少女「まだだいぶ遠い完成を間近にして開発をストップするなんて・・・心が引き裂かれる思いだわ・・・」
マンタ「我々はなんのためにイベントでチラシを配り続けたのかマンタ・・・」
うぅうううううっ・・・・
うううううううう!!!!!!!
うわぁああああああ!!!!!
(バーン!!)
OL「こっ・・・これは・・・?この通帳は・・・」
OL「うっうわぁあああああ!!!!!!残額が空じゃ無い通帳 is お金だぁあああ!!!!!」
OL「こんなお金、この森にはもうないはず・・・きっと毎日不安を抱えながらがんばって朝から晩まで働いてる私への、マネーの神々たちからのご褒美なのよ!!パフェを食べてくるわ!!」
森クマ「しゅーっ!!!」
OL「・・・っ・・・このクマ野郎のへそくりは昨年末に全部回収したはず・・・まだ隠し持っていたのね」
少女「OLさん、このへそくりがあればもうちょっとだけ開発を続けてもいいんじゃないかしら!!」
OL「・・・」
OL「・・・というか、この前のSANDBOXを経て、一度いろいろな要素を削った最小限構成で一応最後まで実装したんでしょう?それをリリースすれば良いんじゃないの?」
少女「うん・・・なんというか、一応動くには動くんだけど・・・。なんというか、ゲーム的にまだメリハリや駆け引きに欠けている気がするの。でもそれは、要素を削ったからというよりも・・・」
少女「ゲームの中核・テーマになるべき部分が、そもそもの面白さの最低ラインに達していない・・・!」
(なぜか得意げな少女)
森クマ「しゅーっ!!!しゅーっ!!!」
OL「クマはあっちに行ってなさい!!」
少女「だからこそ、我々は色々要素を付け足してカバーしようと試みたのです。でもそれは、工数の肥大化を招き、そして中核になるべき部分の面白さをさらに濁らしただけだったのです。。。」
OL「そのことに、付け足した要素を一度削ぎ落としてみた結果、気づいた・・・と」
少女「本当に勝負するべきは、ゲームの中核になるべき部分の面白さ・・・そこから逃げていることに、数ヶ月経って我々は気づいたのです・・・私たちは愚かだった・・・」
OL「とりあえず見せてみなさいな」
(プレイ中)
OL「・・・」
OL「うーん・・・、確かに・・・。なんというか、最初がピークで先に進むほど物足りなさを感じる・・・出オチ感があるわね」
OL「あっ・・・でも、このステージは面白いわね!!テーマ・ギミックをちゃんと活かしたゲームになっている・・・むしろ他のステージをこのラインまで引き上げたいところね・・・」
少女「そうなのです!その面白さが出てるステージは、うまく作れたっていう実感があるの!だけど他のステージはまだそこまでに至っていないのです・・・」
少女「だからこそ・・・」
少女「至らせたい!!!」
少女「面白さを!!!」
OL(・・・)
OL(・・・たしかにこのままリリースするのは、なんというか・・・ある種の悔しさを感じる・・・)
OL(デザインやUIのクオリティ以前に、もっと原始的な・・・ゲームの面白さが、これまでのクマゲームに比べてもまだ成熟していなのを感じるわ・・・今までアクションゲームばっか作ってたのに、なぜにパズル的なゲームに手を出したんだ、こいつらは・・・)
(これまで作ったゲーム。全部面白いから GW中に全部ダウンロードしましょうクマ)
OL(だけど、イベントを期にシンプル構成にして、ゲームの中核部分と向き合ったことで・・・面白い部分が少しずつ顔を出し始めてもいる気もする・・・)
OL(だけど・・・だからってこれ以上リリースを引き伸ばすことを許したら、悪しき前例を作ってしまうわ・・・第一この森の家計簿はどうなるのか・・・)
森クマ(シャッ!!!)
OL「!?」
(へそくり通帳を長い舌で絡め取ろうとする森の妖怪)
森クマ「やっぱりこの!!!この通帳はだめックマ!!手をつけてはいけないお金ぇ!!クマが!!何年もお勤めして集めてきた大切なお金!!!!お金!!!!」
「お金 is Money!!!」
森クマ「このへそくりは!!1ヶ月に1回北海道旅行に行くためのお金ックマ!!!!誰にも渡さないックマ!!」
OL「えぇい舌を離せこの妖怪が!!これは私のもの!!」
(バシィっ!!!)
森の妖怪「いたいっ!!!」
OL「わかったわかった、とりあえず新作のリリースまでは延長してあげるわ!!」
OL「ただし、へそくりの残額をあてにするのは危険だから、これまで通り最低限の月収は入れなさい!あと家事ももっとしっかりやれ!洗い物も洗濯物の畳み方もなってない!!ゲーム開発と一緒で雑なのよ!!」
(仕事が雑な森の妖怪)
OL「そして隠し持ってるへそくりを一円残らずテーブルに出しなさい!!私が管理するからね!!優しい!!私、優しい!!」
少女「OLさん、やさしい!!!」
森の妖精たち「やさしい!!」
森クマ「いやだぁああっクマいやだぁああっクマよ!!テーブルの上に出したへそくりはハイエナの前に出された霜降りお肉も同然ックマ!!もういいっもういいックマ!!潔くリクナビNEXTに登・・・
少女「みんなこのクマをくすぐって!!」
少女「今のうちに、おへそを残らずひきずりだしましょう!」
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〜お知らせ〜
少女「新作ゲーム【まつろぱれっと】は、リリースまでにもう幾分のお時間を頂くことにしました。平成のうちに呪い殺されるのを楽しみに待っていた紳士淑女のみなさまごめんなさい!!」
少女「だけどこの延長時間で!私たちは、紳士淑女の皆様にご満足いただけるような良い感じの呪いを熟成致します!!」
少女「令和元年!死に様色々呪い殺されるのを!!お楽しみに!!!」
(まつろぱれっとの進捗状況はこちらのHPで確認できますクマ )
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森クマ(ふ・・・ふふ・・・)
森クマ「うまくいったクマ、眼前に出した囮のへそくりを犠牲にして、本当のへそくりを隠し通す。我ながら策士ックマよ。」
森クマ「本当のへそくり通帳は、地面奥深くに隠していたんですクマ。どれ残額は・・・だいじょぶだいじょぶ、まだ数回は北海道に行けるックマ。GWはエンジョイベアー!」
(次回に続く)